梅田望夫さんのインタビューにゆっくり反応してみる(2)-2

(2)-1からの続き。
岡田有花さんインタビュー - My Life Between Silicon Valley and Japan


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しょせんサブカルチャーじゃないか、Googleアメリカの大学が講座を公開したりするような、そういう本当に世の中を変えていくトレンドとは何も関係ないじゃないか、と思われるかもしれない。たかがネット空間上の文化現象でしょ、そんなに重要性があるの?と。
超一流の人がwebを通して切磋琢磨し、世界を変えていく。それとは違うやり方で、バカと暇人が作ったネット文化も、世の中の有り様を変えていく、大まじめで、自分はそう思う。
インタビューの記事を読むかぎり、梅田さんは、ただのサブカルチャーであるネット文化の重要性を評価し損ねているように見えた。同時に、英語圏の知的に高級な人たちのweb活動を過大評価しているように見える。
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なぜ、ただのサブカルチャーであるネット文化がそんなにも重要だと思うのか。
それは、文化がある集団のアイデンティティの核になりうるから。文化が求心力を持つことによって、ばらばらの個を、意志を持って動き回る1つの集団にまとめ上げることを可能にするから。
これはまだ可能性の話で、現実はまだそこまでは至っていない。でも、そういう兆候は見える。
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今よりももっとネットの存在感が大きくなって、現実世界がしぼんだ世界を想像してみる。ネットの中では、相変わらずサブカルチャーが隆盛していて、参加者の数はより大きくなって、より密にコミュニケーションを取り合うようになる。一言で言うと、コミュニティが形成される。もちろん、そのコミュニティには世論があって、その世論の方向に沿って、世の中を誘導していく。あるいは、さまざまな形で現実に影響力をふるう。
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まー、今の段階では、半分SFのような未来。でも、そうなる可能性のある未来だと思う。
でも、今の時代にマスメディアが握っている程度の影響力であれば、それを未来に、ネット上のあるコミュニティが握っていてもおかしくはない。
テレビを利用して、県知事になった人物がいるならば、ネット上のコミュニティを利用して政治家になる人が出てきてもおかしくない。たとえば、ひろゆきさんが東京都知事になったり(これは冗談)。
付け加えると、地縁や人縁、会社縁、学校縁をはなれたネット上のコミュニティで形成された世論は、たぶん世の中を住みやすい方向に変えるだろうな、と個人的に思う。
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たぶん、梅田さんは自分のインタビューがこれだけ大きな反発をよぶので、驚いていると思う。なぜ?と。
これがネット文化のもっている求心力の強さなんだと思う。ふだんは自覚できないくらいゆるいけれど、梅田さんの否定的な発言で、ウチとソトの境界線の輪郭が明瞭になった。
たぶん、梅田さんはさわったのだと思う。形成されつつあるネット上の巨大コミュニティの尻尾を。
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最後は文学的修飾が入りました。嘘です。このシリーズはまだ続きます。