ニコニコ宣言を読む(5)

ニコニコ宣言をまじめに読んで、あれこれ思うところをメモします。続き。


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http://www.nicovideo.jp/static/base/declaration.html
第五宣言 ニコニコはネットでのコンテンツと著作権の新しい可能性を追求します

われわれは、ネットを大義名分として無料あるいは格安で利用できるようなサービスやビジネスモデル、また他メディアのコンテンツをそのままあるいは劣化した形で利用するサービスやビジネスモデルをめざす考え方は断固拒否します。

われわれがつくりたいのはコンテンツの新しい利用法、楽しみ方、広め方をユーザーとクリエイターの双方に提供することであって、コンテンツの世界が豊かに広がるためにはクリエイターに利益がもたらされることが根本的に必要であることを信じます。

コンテンツと著作権についての話が来た。著作権については、膨大にふまえなければいけない文脈がありそうで、なかなか普通の人が口を挟める状況にないよね。難しい。
ニコニコ動画は、ネット上のコンテンツが無料/格安で利用できるような状況をのぞまないと。コンテンツがいずれ無料になるだろう、とか、無料になるべき、といった考えも採らない。ネット上のコンテンツについて対価が支払われるべきだと。
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まあネット上のすべてのコンテンツが無料になるだろう、なんて言ってるのは、かなり極端な人ぐらいなもの。ニコニコ動画の考え方は穏当だと思う。
ただし、ネット上でのコンテンツのやりとりは、実世界でのコンテンツの売買とは違ってくると思うんだな。
実世界の場合は、コンテンツを記録した何らかのメディアと引き替えにお金を渡す形。これをネット上でやろうとすると、データを買って、代わりに、お金を渡す形になる。
これでもいいんだけど、ネット上のデータのほとんどが無料なので、なんだかいまいちしっくりしない感じ、違和感があってあまり広がらない感じがする。
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なので、この場合、主に二つのやり方で売買を成立させるのがよいやり方だと思う。
1つは、ネット上では、データではなく、アーティストとの個人的なつながり、絆みたいなものと交換でお金を渡す、という形にすること。制作者の威厳を失わない形で、ファンとの結びつきを作って、ファンはそれに対してお金を払う、みたいな設計ができればベスト。
単純に、ネット上で音楽なんかを買うときには、メールアドレスの入力を必須にして、そのアドレスに作者が直接、ありがとうのメールを入れる、というのでもいいかも。あるいは、その際に、軽く交流ができてもいい。
もう一つは、実世界と絡ませることで、お金のやりとりをする違和感を消してしまうこと。
「歌ってみた」の人たちがやっているように、ネット上の活動はニコ動で見れるよ、でもライブはお金払ってね、というのはいいやり方だと思う。
着メロも、携帯電話、という具体的なものとの結びつきが強いところが、お金を払いやすくしているんじゃないのかな。
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われわれは現実世界のコンテンツを仮想世界へ単純に投影しただけでは、コンテンツの世界は拡大されないことを知っており、仮想世界においてユーザーが欲しがるコンテンツをつくりだし、新しい著作権の対象物となることを目指します。

これはよくわからず。仮想世界でも、現実世界でも、ユーザの指向はそんなに変わらないと思う。というか、仮想世界だけで、好まれるようなコンテンツはあまりお金にならないんじゃ。