ニコニコ動画は娯楽の自給自足、と

はてな
ニコニコ動画は言うなれば昔の子供向け紙芝居屋である。
ただし無料で、お互いがお互いに紙芝居をするようなものだ。

福耳先生の短い記事にそうだなーと同意。


考えてみれば、井戸端会議とか、友人同士でのんびりおしゃべりする、というのも、時間のつぶし方の一つで、昔ながらの娯楽の自給自足、と言えるかも。
ニコニコ動画が新しいのは、ネットのコミュニケーション効率の良さによって、それを大規模にやれてしまえる点にあると思う。
同じ時間、同じ場所で居合わせなくても、コミュニケーションが成立してしまう、非同期的なコミュニケーション、というやつ。
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ニコニコ動画を見ていて思うのは、こういう場所で育つ音楽やアニメーション、というのは、いわゆる商業作品とは異なる力場にいるようだ、ということ。
従来の音楽やアニメーションが、作品性を強めていく方向に流れがちなのに対して、ニコニコ動画にうpされる動画作品は、コミュニケーションとの境目が曖昧になっていくような感じがする。
いわゆるネタ動画ってのは、「おはよう」とか「こんにちは」みたいな挨拶みたいなもので、そのときの状況と文脈を切り離したらなんだかわからなくなる。
脇から見ているだけでも、たぶんここからは大がかりな映画やドラマなんかは生まれないだろうな、ということを感じる。
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ただ、だからといって、ニコニコ動画が発展する可能性が乏しい、ということにはならないと思う。
大がかりな作品が作れなくても、ニコニコ動画には、それまでの商業作品にはない強みがあって、それは直接、作品に参加できる、という強さ。
楽器が弾ける人は演奏し、絵が描ける人は絵を描き、そうでもない人は外野で応援したり、マイリスに入れたりする。こういう、作品に直接参加する楽しさ、というのは、ソファに座って大型テレビでハリウッド映画を鑑賞するのとは、正反対の楽しみ方になる。
案外、楽しさの程度で、両者は拮抗するんじゃないか、という予感が個人的にある。どちらを選ぶかは人によって、あるいはそのときの気分によったりするんじゃないかと。