東洋陶磁美術館の常設展も見た。
よかったのは、高麗時代の象嵌の入った青磁。白い化粧土による象嵌で、田園の風景を書いたもの。柳や魚が自由に彫られていて、おもしろかった。同じ高麗時代の鉄絵をつけた青磁壺もよかった。そろばんの玉型をしていて、赤茶色の鉄絵で竹の絵が描かれている。
日本の各時代の陶磁器を紹介した箇所では、室町時代かそれ以前の時代の、越前と信楽の大壺がよかった。人が一人では抱えられないような大壺で、また地肌がすばらしい。信楽の壺の方は、まるで自然石のような肌合いで、人の手が作ったものではないかのよう。越前の大壺も、赤茶色の地肌に伸びやかに灰釉がたれていてすばらしかった。
あまりにもすばらしかったので、この二つの壺の前にしゃがみこんでしばらくぼーっとしっていた。ガラスケースの手前ぎりぎりまで迫ると、視界が全部、壺の地肌で埋まる。目の幸福。