ギリシャの島々の爬虫類の絶滅パターンから、気候変動の結果を予測する

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どうでもいい前言。
たぶん、温室効果ガスの増大による、地球温暖化はもうどうしようもないのでしょう。
地球温暖化を今から防止する、ということについて国際的な合意--65億人の合意をとりつけるのは不可能だし。
そもそも、まだ起きていない危機について、予防的な行動を取る、ということ自体、人にとって一般的じゃないと思うし。
先日の国連による気候変動サミットも、半端な形で終わってしまった。
地球温暖化による災害がどういうものになるのか、また起きてしまった変化の影響を小さくするためには、どうすればよいのかを考えた方がよい気がします。
下の記事の通りならば、北方に棲んでいて、棲む場所の限られているやつ、環境保護のCMによく出ているシロクマさんあたりがいちばん始めに絶滅するんですかねえ。

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というわけで海外ニュース翻訳。
Ice-age reptile extinctions provide a glimpse of likely responses to human-caused climate change -- ScienceDaily
"氷河時代の、爬虫類の絶滅は、人間の引き起こした気候変動によって何が起きるのかを垣間見させてくれる"

要約。
ギリシャの島々では過去15000年前から、爬虫類が絶滅が絶滅していく流れがありました。それは、人間の引き起こした急速な温暖化に動植物がどういうふうに反応するのかについて、見通しを与えくれるかもしれません。

ギリシャの島々での絶滅は、また生息回廊(habitat corridors)を保存することの決定的な重要性について、教えてくれる。生息回廊を通って、動植物は気候変動に対応するために移動できるため、動植物の生存の可能性を最大化できる。
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最終氷河期の終了間際に、気候が暖かくなり、海水面が上がって、エーゲ海にたくさんの島々を作った。それらの島々はもともとギリシャ本土の一部だった。
同じ時、冷涼で湿った森林地帯は縮小して、乾燥地帯がこの地域に広がっていった。
気候の変化と植生の変化、そして、小さくなったままの島の大きさ。これらが結びついて、多くの爬虫類は絶滅の危機に立たされた。
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過去の気候変動の結果をはっきりと理解するために、Johannes Foufopoulosと彼の同僚は、北東地中海の、87のギリシャの島々における、35の爬虫類--トカゲやヘビ、カメに分類されるものなど--の絶滅率を算出した。
算出された絶滅率は、最終氷河期にギリシャ本土に生息していた種に対して、現在の各島ごとの種の生存/死滅を結びつけた。
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Foufopoulosたちは、島々における爬虫類の絶滅について、明確なパターンを見いだした。ほとんどの事例で、爬虫類の生息数は一番小さな島から順番に減少していった。つまり、生息場所の選択の一番限られている所から、ということだ。
もっとも深刻な打撃を受けたのは、"habitat specialist"(特定の場所にだけ棲む)爬虫類である。このタイプのものは、ごく狭い範囲の環境条件の下でしか生存できない。
さらに、北方に生息していて、より冷涼で湿潤な環境を必要とする種のいくつかは特に高い絶滅率を記録した。
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地球が暖かくなるにつれ、次の数十年間、数世紀のあいだに、さまざまな場所で同じようなパターンの絶滅が起きるだろう。研究者たちはそう結論づける。変わっていく気候に対応するために、植物と動物たちは、ますます細切れになっていく自然の間を移動していくことを余儀なくされるだろうと。
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多くの場合、小さな生息場所のまとまりの周りには、今や、広大な農地や新しく都市化された土地が広がっている。それらの場所にもと居た動植物は棲めない。エーゲ海の島々の場合は、数千年前に広がっていく海に包囲されていた。
動植物の生息場所の細切れ化がますます広まっていくことは、気候変動の効果を著しく悪化させる。それは、動植物の新しい生息場所を採用する能力を台無しにしてしまう。
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爬虫類の絶滅の波から学べたこと。
もし、地球の気候変動から種を救おうとするならば、人間がより多くの土地を保護していくだけでなく、それらの自然保護の土地をつなげて、生息回廊のネットワークを作り上げていくことが重要だ。
Foufopoulosはそう言う。
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過去数十年にわたって、地球温暖化のために、多くの種類の鳥・蝶などは両極に向かって移動(poleward shift)してきた。
これらの、より冷涼な気候を求めての移動--つまり北半球では北極へ、南半球では南極へ、という--は、将来にわたって続くだろうと予測される。生物たちは、自分たちが生存可能な冷涼な気温と湿潤さを求めているのだ。