wikileaksでアラブ諸国の指導者の本音をのぞき見

ドイツのシュピーゲル誌。新聞ではなく、雑誌だと思う。ここのwikileaks関連記事が充実している。
The Secret Alliance: Cables Show Arab Leaders Fear a Nuclear Iran - SPIEGEL ONLINE
見知らぬ英単語が頻出したり、アメリカの新聞のように、内容を要約しやすいように記事を構成したりしないので、非常に読みづらい。
おもしろいけどね。
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記事の内容は、核兵器の準備を着々と進め、影響力を拡大するイランと、それについて、表向きはそれほどでもないふりをしつつ、実はすごくイランを警戒している、アラブ諸国の話。
アラブ諸国のリーダーのもらした本音を、アメリカの大使館がそのまま本国に電報で打ち、その電報内容がwikileaksに暴露されてしまっている。
この場合、最大の被害者は、アラブ諸国の指導者だよね。お気の毒に。
どうも国内の世論と、指導者層の意見が相当、食い違っていて、公の場面では、こうふるまわなければいけないけれど、実は、別のことを心配している、みたいな。
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さらにいえば、アメリカの中東におけるネオコン的な姿勢、というのは、大部分、中東のアラブ諸国のリーダーの要望によるところが大きいんじゃないのと。
それは憶測しすぎ?
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印象深い段落をざらざらと訳。


「われわれはみな怖がっている」。エジプトの大統領、Hosni Mubarakはアメリカ人に語った。中東のスンニ派の指導者は、イランへの制裁に賛成である、そしてある者は、イランの核施設への攻撃を支持さえしている。つまりは、何であれ、イランの影響力を押さえるものであれば、何でも良いということ。
もちろん、彼らはそんなことを公の場で発言しない。しかし、閉じられた部屋の中で、内密に、アメリカの外交官や大臣に対して明かすのだ。
イランの核兵器ほど、アメリカの中東政策の議題を独占するものはない。国務省の書類から明らかになるのは、イスラエルとその秘密の同盟者たちがいかにして、イラン政権を包囲しようとしているか、ということだ。
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「イランはすでに、核兵器を持った大国のように振る舞っている」。彼はUS deputy energy secretaryにそう語った。「イランはムスリム世界に広がる、首長国(emirates)を打ち立てようとしている。レバノン南部、それにガザ、クウェートやBahrainにいる隠れた同調者(sleeper)たち。さらに、サウジアラビアの東部の県や、イラク南部。そして、今やイエメンのaadaがそれに加わった。
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イランについて話し合う、秘密の会合では、Abdullah国王とシェイクのbin Zayedはずっと強硬派だった。しかし、彼らは、このことを公の場では明かさなかった。
同じことは、他のアラブの支配者たちにも言える。ヨルダンは、アメリカの話し合いによる解決を目指す努力に対して懐疑的で、最初から、強硬手段を用いた方がいいと考えていた。しかし、彼らは、自分の意見を決して公にしようとはしなかった。
アメリカは繰り返し、自分たちの秘密の同盟国に対して、彼らの考えを公衆に明らかにするよう求めた。
サウジアラビアは、近隣諸国の先頭に立って、核兵器を手に入れようとする、イランの執拗な求めに対して、懸念の意を表明するべきだ」
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この秘密報告から得られる、驚くべき洞察は他にもある。サウジアラビアアラブ首長国連邦が、イランへの国際的な制裁を加えるに当たって、ロシアと中国を説得するために非常に重要な役割を果たしていたことだ。
この二国は、公には、控えめな立場を維持していたものの、その裏側で、彼らは、2009年に200億ドルにものぼる、中国とイランの貿易を阻止した。中国は、イランの石油のもっとも重要な購入者なのである。