梅田望夫さんのインタビューにゆっくり反応(4)-1

梅田さんのインタビューを読んで勝手に論点をまとめ、長文の手紙のようなエントリを書き起こすシリーズ。
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日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (1/3) - ITmedia NEWS
Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) (1/3) - ITmedia NEWS
棋聖戦第一局の観戦記を書きに行ってきます。 - My Life Between Silicon Valley and Japan
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インタビューを読んで、ここが論点になるんじゃないのかなーと思ったポイントが次の三点。
日本のwebの利用がサブカルチャーに偏っている、それは残念?それとも、という話。
日本のwebには、知的に高度な層の参加が、英語圏に比べて少ない。それってどうなの問題なの?という話。
webが現実のインフラとして機能していないこと。それと密接に関係して、匿名中心のネットの利用と実名を使うネットの比較。
今回は上記のうちの三点目について。
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今まではどちらかというと、英語圏と日本語圏では、webの利用の仕方にずいぶん違いがあるけれど、日本のwebにもいいところがあるよ、という立場で記事を書いた。
今回はどちらかというと逆。実名を堂々と使える英語圏のネット空間はけっこう長所が多いんじゃないのかな、日本の匿名中心で、現実の世界とは切り離されたネットの利用はもったいないのでは、という立場からの記事。
とはいえ、言いたいことはもう少し複雑なので、以下にざらざらと書いた。
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http://d.hatena.ne.jp/takuya514/20080421
最近、tumblrで拾った記事だけど、英語圏の実名を使用のSNSfacebookの利用の仕方が興味深い。
いろいろな事例が挙げられているけれど、まとめればこんな感じ。「この人はどういう人なんだろう」という未知の人の信頼性の値踏みが、SNSである程度、見当をつけられるので、コミュニケーションの効率性、コストが大幅に下がっていると。
もちろん、この種のSNSが犯罪に使われる可能性があるだろうし、こういう実名を使うSNSがあるゆえに引き起こされたトラブル、というのもあるだろうと思う。それに、自分はこの種のSNSについての記事を積極的に追ってきたわけではないので、不案内なところもある。
なので、憶測がだいぶ混じるけれど、それでも、実名を使うwebの利用が普及して、現実の世界の人生設計や、生計手段、キャリア構築なんかと連動すると、ずいぶん便利な世の中になるのではないかと思う。
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今まで会ったことのない未知の人がいて、その人の大まかな信頼性を、限られた時間の中で値踏みしなければいけない、とか。あるいは、逆に、ある特定の目的があって、誰でもいいけれど、その目的に沿って、そこそこ信頼できる人を探したい、というような状況はかたちを変えてけっこう存在する。
たとえば。短期間、旅行にでかけるけれど、そのあいだ家の猫の面倒を見てくれる人がほしい(報酬を払ってでも)とか。ネットオークションで大きな買い物をするのだけど、はたしてこの人は信頼できる人だろうか、とか。
実名の信頼できるSNSがあれば、この種の不便はかなり解消されると思う。
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他に、現実の世界との連動性の強い実名を使ったwebがあるとかなり変わるだろうな、と思うのは、求人市場。新卒の就職活動でも、仕事を変わる転職でも。
この種の活動の場合、対人情報の不確実さと、現実世界のコミュニケーションの非効率性(同じ時間、同じ場所で二人が接触しないとコミュニケーションが成立しない!)がかなり活動の効率性を押し下げている。結果、職を探す側も、雇う人を探す側もかなり不毛な作業を強いられて消耗してしまう。
この種のミスマッチと非効率性も、現実との連動性の高いwebを構築できれば、かなり改善されるのではないかと思う。
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とまあ、こういうふうに現実との連動性が高くて、実名を主に使うwebの利点、考えられる利点をいくつか挙げてみた。
しかしながら、現実の日本のwebは、匿名でのweb利用が圧倒的だ。いわゆる継続的なネット名を使う人すら少なくて(最近はそうでもないか)、2ちゃんねるで言う名無しさんがかなり多い。
かくいう自分も匿名でwebを利用している。
なぜ日本では、匿名のweb利用が多いのか、その理由は? 匿名のwebの長所は? 短所は? そのあたり、自分の思うところを書きます。続きで。