ニコニコ宣言を読む(3)

http://www.nicovideo.jp/static/base/declaration.html
今回は第三宣言。


・・・・・
第三宣言 ニコニコはネット上に人間本位の仮想世界を構築することを目指します

ネットが最初に一般大衆のものとなったのはパソコン通信時代に遡るのでしょうか。そのとき、ネットは人間同士がつながる新しいコミュニケーションモデルを提示しました。人間が現実世界でなく仮想世界においても生きることができることが証明されたのです。

これを書いている人はけっこう若いのかな。パソコン通信時代をリアルタイムで経験していないっぽい言い方。
現実世界だろうと仮想世界だろうと、コミュニケーションの仕方は同じだと思う。人間のやっていることなのだから。なので、ことさら「新しいコミュニケーションモデル」と持ち上げるのはよくわからない。
現実の世界と、仮想世界を併置させるような言い回しは、この後もけっこう出てくるね。

やがてインターネットが普及しはじめ、ネットのもつ潜在的な可能性や価値が明らかになるつれ、ネットは人間のコミュニケーションの場というよりも、新しいビジネスモデルが提示される場所へ変わり、人々の感情のふれあいではなく、巨大なお金がとびかう世界になりました。

お金を儲けるのをいとう傾向、いわゆる嫌儲っぽい言い回しか。あまりネットの世界は大きなお金は飛び交っていないと思うけれど。

われわれはもういちどネットを人間同士のコミュニケーションの場として再構築することに挑戦します。われわれはWeb 2.0とは技術革新でも新しいビジネスチャンスでもなく、人間本位の仮想社会をとりもどすいわばwebルネサンスとでもいうべきものとして定義します。

Web2.0は解釈が多様すぎてわからないな。まあかっこいい言葉なので、各人が好みのマイ定義で使えばよいのでは。
「人間本位の仮想社会」ってのは変な言い方。そもそも、仮想社会自体は、人間以外のだれによっても作りようがないのだから、「人間本位」以外なにものにもなりようがないんじゃない、と思うけど、まあそういうことではないんでしょう。
この部分が言いたいのは、私たち自身が作り上げたはずのネット空間がいつのまにか、私たちの手を離れてしまい、よそよそしい、ビジネス中心の空間になってしまった。それをもう一度、私たちがこうあってほしいと思うネット社会の形に、再構築していきたい、と。そういうことだと思う。
・・・・・
第三宣言は普通。大きな商業資本を仮想敵としているような、妙に俗論っぽいところがある。でも、こういう、多くの人の共感を呼びそうな肉声を盛りこむ、というのがニコニコ動画らしいところなのかも。