100年前の中国、揚子江をさかのぼる旅

中国奥地紀行〈1〉 (東洋文庫)

中国奥地紀行〈1〉 (東洋文庫)


中国奥地紀行1、イザベラ・バード平凡社東洋文庫
イギリスの女性旅行家、イザベラ・バードが、1897年に揚子江をさかのぼって、中国の奥地を旅行した紀行文。
二巻本のうちの1しかまだ読んでない。思ったよりもヘビーな内容。
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「西洋の贅沢さと文明をすべて身にまとう」、洗練された国際都市の上海の描写とか。長江がものすごい量の土砂を運び、毎年のように河口に新しい土地が造成されている、といったスケールの大きな話。杭州や蘇州の美しい運河を船で旅して、運河にかかる橋をくぐったり、中国の旅の序盤は、観光旅行のように美しい。
ところが、揚子江の上流にいくにしたがって、どんどん悲惨な旅行になる。
ものすごく落差が激しい。
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河川の特に危険な箇所で、船を引っ張り上げる役割の曳夫とよばれている人たちのものすごい非人間的な労働とか、強烈に不潔な宿の描写とか。アヘンの蔓延ぶり、女性の纏足について詳しい説明、などなど。
胸の悪くなるような話が続出する。
イザベラ・バード自身も梁山県というところで、狂乱した群衆に襲われたり、災難続き。よくこんな状態で、前へ進む気になるなあと本当に感心する。本当にタフで、意志の強い人だ。