環境危機をあおってはいけない

ちょっと圧倒されるようなデータと緻密な論考の本。考え方の土台が非常に明解で、その後の展開が非常にパワフル。ある基本的なコンセプトに従って、あらゆる環境問題に吟味を加えた、というところ。なんだか壮大な建築物のような本だった。
レスラー・ブラウンがずいぶん以前から食糧不足になるぞ、と警告を発し続けていた(そして外れ続けた)とは知らなかった。本を読んで、偏りのある人だな、とは感じていたけれど、いい加減な人だとは思わなかったので意外。
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事実に基づいて、科学的な議論をしましょう、とか。環境問題を解決するに当たっても、費用対効果、リスクとコストを天秤にかけて考えましょうとか。そういう著者の基本的な方針は賛成。
ただし、本が出版されてから5年、10年経った現在、いくつかこの本の見通しが外れていることも付け加える必要がある。石油の価格は当時よりも三倍、四倍高い、1バレル当たり80ドルをつけているし、各種金属資源も値上がりが続いている。また、小麦をはじめとした食糧も値上がりの傾向がある。などなど。
正直に言えば、細かい議論が出てきたところは読み飛ばした。