ハンス・コパー展へ行ってきた


ハンス・コパー展へ行ってきた。
ハンス・コパーという人は、なかなか大変な苦労をした人のよう。
ユダヤ人の父とドイツ人の母のもとに生まれて、父親は、ナチスによるユダヤ人迫害から家族を救うために自殺。母を残して一人だけでイギリスへ渡るが、そこでは、逆に敵性外国人ということで収容所に収監されてしまう。収容所を抜け出すために、軍隊に応募するも、軍隊でも厳しい労働に従事させられ、体をこわし、と。
そういう予備知識があったせいか、ハンス・コパーの作品が、求道的で、厳しいイメージに見えた。
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同じ展覧会で、ルーシー・リーの作品も並んでいて、対照的だな、と思ったのは、ルーシー・リーの作品が楽しんで作っている感じなのに対し、ハンス・コパーはぜんぜんそんな感じがしないこと。
陶磁器の作品は、たいてい人なつっこい感じがしたり、もしくは作った人を代弁するように、本人の特徴がはっきり出ていたりするものだけど、そういう感じもない。
ハンス・コパーの作品は、作品を見ている人の方に目もくれず、どこかずっと遠い過去を見つめているような感じがした。
架空の古代文明の発掘品が、ハンス・コパーの無意識の海から引き揚げられて具現化する、みたいな。