「南方文化の探究」

「南方文化の探究」、河村只夫、講談社学術文庫
探究、とあるけれど、実質的には旅行記のようなもの。戦前の昭和10年代に沖縄と奄美大島、その先の八重山諸島を回ったもの。著者曰く、人の住んでいる島には全部行った、ということらしい。
島の方々に出かけて、秘密にしている祭祀の中身を教えてくれ、と頼んだり、神聖な場所に勝手に踏み込んだりとか。学術的な研究なんだろうけど、かなり強引な印象。
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作者の人が、典型的な保守のおじさんっぽいなと思った。うぬぼれが強くて、お調子者で、仕事熱心。悪い人ではないんだろうけど、自分と立場を大きく異にする人に対する想像力に乏しい。
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「腹」とよばれる母系の家族集団や、洗骨の風習など興味深かった。