森と文明

森と文明

森と文明

1994年に翻訳、出版されたやや古い本。内容がおもしろい。図書館で偶然、手に取った本だけど、この分野を代表するような著作なのなのかも。

アメリカアマゾンの書評欄にかなり詳しそうな感想が載っている。
Amazon.com: Customer reviews: A Forest Journey: The Story of Wood and Civilization
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ギリシアもローマも木材資源が豊富なところから出発して、どんどん国が栄え、そのうち燃料としての木材を使い果たして、今度は没落していく。国の盛衰がそのまま、木材資源の手に入りやすさと連動しているらしい。
ギリシアとローマの章を読むときに、どうしたって現在のことを考えずにはいられなかった。現代社会の豊かさも、かなりの部分、石油の消費に由来していると思うので。化石燃料から新エネルギーへの移行がうまくいかなければ、21世紀は厳しい時代になるかも。ギリシアやローマの没落期のような混乱。
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この本を読む限りでは、産業革命よりも、木材から石炭への燃料資源の移行の方がよほど世界史的な重大事であったように思える。
たとえば、鉄。それまでは、木を燃料にして、鉄を作ることはできても、石炭を燃料にして、鉄を作ることができなかった。石炭の中に含まれる不純物をあらかじめ取り去ることによって、はじめて、石炭を燃料にした鉄の製錬が可能になった。
ダービー卿によって、最初のコークス高炉が作成されたのが、18世紀の初め。実際に軌道に乗ったのは、18世紀の半ばのことのよう。